Q
 「何事も、自分から進んでできる」ようになってもらいたいのですが、どのように接すればよいでしょうか?

A
 現在、「いわれなくても、自分でできる」ことはどんなことでしょうか。できる項目に○をつけてください。
<日常生活>
・朝、起きる ・布団をたたむ ・着替える ・洗面する ・朝食の準備をする ・朝食を食べる ・朝食を片付ける ・歯を磨く ・身だしなみを整える ・用便をする ・手を洗う ・登校(出勤)する ・必要な物を買う ・部屋のそうじをする ・ハンカチ、下着類の洗濯をする ・自分で食べる物を調理する ・食器を洗う ・調髪する(理容・美容院に行く) ・爪の手入れをする ・入浴する ・部屋を片付ける ・必要に応じて衣服を取りかえる ・布団を敷く ・定時に寝る
・家事を分担する(そうじ・洗濯・炊事・買い物)
・日記をつける ・金銭出納帳をつける ・週予定をつける
・宿題をする ・市役所、郵便局、銀行などで必要な手続きをする
・体調不良を訴える ・必要な治療をする
・その日の出来事を報告する ・質問、相談をする
<余暇>
・遊びに行く ・外出の計画を立てる ・予算を立てる ・必要な電話連絡をする ・本を読む ・音楽を聞く ・テレビを見る ・映画を見る ・スポーツをする ・旅行をする ・友だちと話す ・手紙を書く ・手芸、工作をする ・絵を描く ・園芸をする ・飼育をする

 学習や仕事に関する項目は除いて、社会生活に関する項目を50あげてみました。その中で、 どれくらい○がついたでしょうか。「社会自立している」と思われる人であっても、すべてが (何事も)○というわけにはいかないでしょう。したがって、一つでも○がつけば、それが大 きな手がかりとなります。
 私たちの生活には、@「やらなければならないこと」と、A「やりたいこと」があると思います。 「やりたいこと」は自分から進んでできるが、「やらなければならないこと」は、他人から言われても なかなかできない、というのが「自然な姿」でしょう。しかし、「やらなけらばならないこと」を、他 人から言われて「渋々くり返す」うちに、だんだんと「やらなければ気がすまない」という気持ちにな り、最後は「やりたい」という意欲に変化することも事実です。例えば、「洗面する」「歯を磨く」 「手を洗う」「入浴する」「爪の手入れをする」等、「清潔」に関する生活習慣に○がついているでし ょうか。幼児の頃は、すべて親が介助しなければできなかった項目です。手伝ってもらいながら、その ことをくり返しているうちに、爽快感を感じ、「自分でやってみたい」という気持ちが芽ばえた人は、 ○がついていると思います。
 大切なことは、「やらなければならないこと」を「やりたいこと」に変化させることですが、そのためには 「やりたいこと」を十分に行い、意欲的・積極的な気持ちを高めることだと思います。<日常生活> に比べて<余暇>の方に○がたくさんついているでしょうか。もし、<余暇>の方にたくさん○がつい ているとすれば、心配はないでしょう。
 明日は友だちと遊びに行く、早く起きよう、お金はいくら持っていけばよいか、確認の電話を入れた方が よいだろうか、どんな服装にしようか、入浴して体を清潔に、身だしなみを整えよう・・・・、というように、 <余暇>の「やりたいこと」を実現するために、期待感をもって<日常生活>の「やらなければならないこと」 に取り組むことができるからです。
 一方、<日常生活>は、かなり○がついているのに、<余暇>の○が少ない、という場合はどうでしょうか。 「やらなければならないこと」を自分でできるが、「やりたいこと」が見つからない、という状態が考えられます。  「何のために働かなければならないのか」という疑問をもつ人は、たくさんいます。「生きがい」「はりあい」が 感じられないのです。そのために、「何事も、進んでやろうとしない」のであれば、心配です。どうすればよいでし ょうか。「清潔」の習慣を介助したように、親が手伝わなければならないのでしょうか。そのとおりです。 子どもは、親の背中を見て成長します。「何のために働かなければならないのか」、そのお手本を見せるのは、 親の役割であり責任だと思います。最近の様子を見ると、(子どもを車の中に放置して、パチンコに熱中する親、 子どもに万引きを催促する親などは論外としても)、子どもと一緒に生活し、働き、「家族の幸せ」を実現している 家庭が減っているように感じられるのですが、どうでしょうか。
 「幸せ」とは、@好きな人がいる、A好きな人と一緒に暮らす時間がある、B好きな人と一緒に暮らす場所がある、C好きな仕事がある ことだと思います。子どもにとって、家族は「好きな人たち」でしょうか。家庭は「好きな人と一緒に暮らす場所」になっているでしょうか。
 「生きがい」「はりあい」を感じるためには、好きな人のために「生きる」という生活が不可欠だと思います。
 また、「好きな仕事」とは、「好きな人と一緒にする仕事」であり、「自分らしさを十分に発揮する仕事」です。それが自分の職業と一致すれば 「至上の幸せ」ということになりますが、多くの場合、容易なことではありません。「好きな仕事」で、お金が稼げるとは限らないからです。
   <余暇>は、「好きな仕事」を実現するためにあります。
  ○の少ないお子さまの場合、力を貸してあげてください。「一緒に楽しんで」ください。「そんなこと言ったって、自分の<余暇>すら楽しめないのに、 できるわけがない」という皆様の声が、聞こえてきます。だとすれば、とりあえず、「やらなければならないこと」(家事)を「一緒に楽しんで」、 <余暇>を創りだしましょう。